minerva2050 review

ブック、映画、音楽のレビューです。お役に立てば・・・

映画

映画「ゼロ・ダーク・サーティ」

ゼロ・ダーク・サーティ コレクターズ・エディション(2枚組) [DVD](2013/09/03)ジェシカ・チャステイン、|ジェイソン・クラーク 他商品詳細を見る ドラマは誰もが知っているビンラディン殺害にいたるまでのセミドキュメンタリー。 ただビンラディン発見がマ…

中国歴史ドラマ「曹操」(2)

三国志のヒロインたち、有名な女性といえば貂蝉(ちょうせん)と蔡文姫(さいぶんき)でしょう。 ただ呂布を誘惑して董卓を殺す貂蝉(ちょうせん)は小説三国志演義で作られた架空のヒロイン。 いっぽう、蔡文姫(さいぶんき)は匈奴に拐われ妾とされて塗炭…

中国歴史ドラマ「曹操」

曹操墓の真相(2011/09/22)河南省文物考古研究所 p/exec/obidos/ASIN/4336054177/suzunoya01-22/ref=nosim/" target="_blank">商品詳細を見る 毛沢東は 「往事 千年を超ゆ。魏武 鞭をふるひ、東のかた碣石(けっせき)に鑑みて遺篇あり。」 と曹操の名誉回復…

サルトルとボーヴォワール 哲学と愛

サルトルとボーヴォワール 哲学と愛 [DVD](2012/07/28)アナ・ムグラリス、ロラン・ドイチェ 他商品詳細を見る ボーヴォワールを主人公にしたフェニミズム映画。 ただサルトルがベルリンにフッサールを訪ねたり、メルロ・ポンティが友人として登場したりと、…

フロイトとユング「危険なメソッド」

危険なメソッド [DVD](2013/06/21)キーラ・ナイトレイ、ヴィゴ・モーテンセン 他商品詳細を見る フロイトとユング、なかなかわかりにくい心理学史の一面をサビーナという女性を通して語らせるという趣向。 ふたりの仲違いの原因がやはりそうだったのかと得心…

ファンにはたまらない魅力「新米刑事モース~オックスフォード事件簿~その1」

コリン・デクスター「主任警部モース」シリーズのファンとしては期待と不安で観始めた「エンデバー」ですが、 さすがに国民的作家の名誉を傷つけることのない重厚な作りで、まずは無事なスタート。 初恋に破れたばかりの屈折した青年モースをショーン・エヴ…

「最強のふたり」にみるクレオール礼賛

9/28(土)よる9:00 WOWOW シネマ 黒人のドリス(オマール・シー)がとにかく美しい。 撮影監督 (マチュー・ヴァドピエ)の撮影技術によるのだろうが、冒頭のドリスの目、踊る身体、ラストの表情、演技を超えて白人もアジア人もあの「からだ」と「自信」に…

「項羽と劉邦」の楽しみ(10)項羽,鉅鹿(きょろく)へ

WOWOW 毎週土曜午前9:00(2話ずつ放送) このドラマのおもしろさは、歴史劇のなかで「なるほど、そうだったのか」とうならせるリアリティが散見することでしょう。 劉邦がわずかな手勢で別働隊として関中を目指すのは、秦軍の本体との戦いを恐れて嫌い、加え…

「項羽と劉邦」の楽しみ(9)范憎(はんぞう)

WOWOW 毎週土曜午前9:00(2話ずつ放送) 楚が滅ぼされ「楚の遺民」と称して隠棲していた老人が項梁を訪ねます。 その老人が范憎、項梁の軍師として仕えます、ただこの時すでに七十歳。 三国志の軍師諸葛孔明をおもわせますが孔明が劉備玄徳に仕えたのは二十…

映画「フィッツカラルド」オペラファンならずとも涙す

ラスト、フィッツカラルドが船上に赤いビロードの椅子を持ち出し葉巻をくわえ、 朗々とながれるベルニーニの「白鳥の歌」を聴く。 おもわずオペラファンならずとも涙する名場面である。 物語はフィッツカラルドがペルーのイキトスからマナウスまでアマゾン川…

傑作ドラマ「スウェーデン国家警察特捜班」完結

(AXNミステリーチャンネルより) 最終回をむかえるのが惜しい, 5話10回の構成、どの回も周到に編まれた傑作ドラマでした。 とくに最終回は第二次世界大戦のホロコーストにかかわるシリアスなドラマ。 「ミレニアム」にはじまった北欧ミステリーブーム…

映画 扉をたたく人

扉をたたく人 [DVD](2009/11/20)リチャード・ジェンキンス、ヒアム・アッバス 他商品詳細を見る なによりもこの映画を製作した勇気あるスタッフに拍手をおくりたい。 映画を創るとは同じこころざしの人が数十人はいなければならい。 監督、脚本家、俳優、撮…

「サラの鍵」フランス現代史として

WOWOWで再放送があります7/21(日)深夜2:10 ときどき襟を正して観なければならない映画に出会うことがある。 「サラの鍵」はそういう映画である。 第二次大戦中のフランス、ヴィシー政権を最初に批判した映画はあの名画「カサブランカ」である、ただし…

「パレーズ・エンド」ベネディクト・カンバーバッチの戦争と平和

WOWOWで7月9日再放送。 いわば「戦争と平和」の英国版、時代は1910年代、第一次世界大戦のころのお話。 たとえれば「戦争と平和」のピエールがクリストファー・ティージェンス、ベネディクト・カンバーバッチが演じている。 ナターシャがヴァレンタイ…

映画「ミュンヘン」モサドについて考える

数あるスティーヴン・スピルバーグ監督の作品のなか最高傑作と呼んでいい。 物語は1972年のミュンヘンオリンピック事件と、その後のイスラエル諜報特務庁(モサッド)による黒い九月に対する報復作戦を描く。ジョージ・ジョナスによるノンフィクション小説『…

「項羽と劉邦」の楽しみ(6)沛公

WOWOW 毎週土曜午前9:00(2話ずつ放送) いよいよ劉邦は沛公となりました。 沛県の県令を殺してかってに県令になったのですから、ドラマでも言ってるように「前に進むか、死ぬしかない」運命となったのです。 劉邦はこれから漢の皇帝につくまで(前200年)沛…

映画「ジャッカルの日」職人芸の粋

ひさしぶりに「ジャッカルの日」を観ました、年月を経ても色あせない名作ですね。 今日は、とくにフレッド・ジンネマンのフィルム編集に職人芸の粋をみたような気がしました。 どのシーンもあともう一秒見たいと思うその瞬間にフィルムを切ってつないでいる…

「イル・ディーヴォ ‐魔王と呼ばれた男」

ジュリオ・アンドレオッティ氏死去=イタリア元首相 ジュリオ・アンドレオッティ氏(イタリア元首相)イタリアからの報道によると、6日、心不全のためローマ市内の自宅で死去、94歳。 ローマ生まれ。第2次大戦後、イタリア政界を長期支配した旧キリスト…

映画「キラーエリート」

惜しいアクション映画でした。 まず実話に基づくおそるべき良質な脚本。 キャスティングも最高、名優ばかり(ジェイソン・ステイサム ライヴ・オーウェン ロバート・デ・ニーロ ドミニク・パーセル エイデン・ヤング イヴォンヌ・ストラホフスキー)これ以上…

メルビル「白鯨」という不条理劇

白 鯨 MOBY DICK (冒 険 者 た ち / 因 縁 の 対 決) [DVD](2012/04/04)ウィリアム・ハート、イーサン・ホーク 他商品詳細を見る このブログをスターバックスで書いている。 シアトル生まれのこのコーヒーチェーン店の名前の由来は「白鯨」に登場する一等航…

オタール・イオセリアーニの最新作「汽車はふたたび故郷へ」

6/5(水)午前4:45 WOWOWシネマで再放送 「ベニスに死す」に触発されて思い出す、もっとも美しくベネチアを描いているのがこの映画「月曜日に乾杯」。 主人公が屋根にのぼりベネチアの街を俯瞰するシーンには息を呑みます。 オタール・イオセリアーニ …

映画「ジャッジ・ドレッド 」バイオレンスの美学

バイオレンスの美学、暴力シーンを美しく見せる、 普通に考えるとおぞましい発想ですがまあ映画での話、よしとしましょう。 はじまりはサム・ペキンパーの「ワイルドバンチ」あたりから、その後はそんな手があったのかと、われもわれもとスローモーションで…

映画「ハンガーゲーム」ジェニファー・ローレンスの快走

アメリカの作家スーザン・コリンズによるヤングアダルト小説(青少年向けのライトノベル)が原作。 近未来のSFファンタジーと気軽に見始めたのだが、 意外やいがい、現代社会を投影したシリアスなドラマに仕上がっていて、時間も忘れて見入ってしまった。 …

映画「アルゴ」

アカデミー賞作品賞、それもオバマ大統領夫人から発表されましたが、それにふさわしい映画でした。 映画を観るまでは、仰々しいパフォーマンスに首を傾げていましたが、映画を観ればなるほど納得しました。 史実はともかく、映画の要素、脚本、俳優、撮影、…

映画「最終目的地」ジェームズ・アイヴォリー

名画、おそらく時を経ても何度も観るであろう映画です。 ジェームズ・アイヴォリー監督による文芸ドラマ、 今回はウルグアイ、鬱蒼と茂るジャングルのなかの館が舞台です。 「眺めのいい部屋」「ハワーズ・エンド」「日の名残り」「上海の伯爵夫人」どの作品…

映画「ドライヴ」監督ニコラス・ウィンディング・レフン

世の中は広い。 デンマークのニコラス・ウィンディング・レフン、驚くべき才人である。 「ブリッド」のカーアクションと「シェーン」のドラマ、「パルプフィクション」の感性、 そしてライアン・ゴズリングは「スカーフェイス」のアルパチーノ。 これだけ揃…

競馬「天皇賞」

競馬は「書斎の競馬」ほど楽しみます。 149回天皇賞は大方の予想を外してフェノーメノが勝利しました。 競馬の予想記事ほど反省のない無責任なものはありませんが、一方 それでも競馬担当記者の仕事はジャーナリズムの中できれいで楽しいものでしょう。 …

「スカイフォール」帰ってきたジェームス・ボンド

007の50周年記念映画だそうである。 なるほど「スカイフォール」ダニエル・クレイグのボンドの立ち振る舞いは初代ショーン・コネリーを彷彿とさせる。 処女作「ドクター・ノオ」でボンドが登場してからもう50年にもなるのか。 いま思えばおかしい、人…

ヘレン・ミレンを観る

映画「クィーン」を再度観ました。 それはたまたま観た『ペイド・バック』でのモサドの工作員レイチェル役で、やはりうまい女優さんだと思ったからです。 アカデミー賞受賞演技ですからもちろん折り紙つきですが、 やはり実在のエリザベス女王を演じるのは大…

「ロンドン警視庁ファイル」海外ドラマの傑作

キャリル・チャーチル かつてBBCドラマでキャリル・チャーチルのフェニミズム劇「トップガールズ」という評判をとった舞台劇があった。 日本で翻案され舞台にかかったので期待したが、残念ながら舞台劇本場の興奮に遠く及ばなかった。 そのとき、なぜだろ…