minerva2050 午後の愉しみ

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山中伸弥 ノーベル賞(その2 山中伸弥)「生命の意味論」から

「個体の形を作り出す過程は、言うまでもなく遺伝的に決定されている。

だから人間からは人間が生まれるので、サルやニワトリは生まれてこない。

しかしその過程は、きっちりとすべてがブループリントで決まっているわけではないらしい。

まず個体形成の大もととなる細胞群が現れ、それが周囲の細胞に働きかけてそれを変化させ、その結果として次のプログラムが呼びさまされてゆく。

それが順序正しく起こっているものだから、全部が初めから決定されているように見えただけなのである。」    

        「生命の意味論」 多田富雄から


生命の意味論生命の意味論
(1997/02)
多田 富雄

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              再びトゥキュディデス「戦史」

好評を博した「免疫の意味論」から六年後に書かれた多田先生の著作。やはりしろうとの私にも「腑に落ちた」ありがたい名著である。

この本で意外にもトゥキュディデスの「戦史」の話が出てくる。先に別の項でアテネを襲った疫病のことに触れた。だが、さすがに医学者の多田先生はその詳細から、疫病はペストであろうと診断され、トゥキュディデスが「免疫」の存在に気付いていた、といわれる。

「一部の人では、一度罹病すれば、再感染しても致命的な病状に陥ることはなかった。」

じつは別の歴史書では、トゥキュディデスも疫病にかかりそれから抜け出していたのである。だからこれでもかというほど記述したのかもしれない、いま風に言えばトゥキュディデスは「抗体」を持ったのである。

しかし免疫のことなど知る由もないトゥキュディデスは、「だからといって、そのことを吹聴したり病人に近づくことは愚かなことだ」とたしなめている、当時としては当然であろう。

                細胞進化は伝言ゲーム?

さて、山中伸弥教授のノーベル所授賞理由について、カロリンスカ研究所は声明で「細胞や器官の進化に関する我々の理解に革命を起こした」と説明した。

(この稿は読まれなくて結構です、頭が痛くなりますから)

 山中教授は、06年に世界で初めてマウスの皮膚細胞からiPS細胞を作った。iPS細胞は受精卵のように体のどんな部分にも再び育つ。皮膚などにいったん変化した細胞が、生まれた頃に逆戻りするという発見は生物学の常識を覆した。細胞の時計の針を巻き戻せることを示した「初期化(リプログラミング)」と呼ぶ研究成果は「まるでタイムマシン」と世界を驚かせた。生命の萌芽とされる受精卵を壊して作る胚性幹細胞(ES細胞)と違い、倫理面の問題からも特に欧米社会で高く評価された。(この項 日本経済新聞

もちろんどんな説明を受けても科学音痴のわたしには理解しがたい話ではあるが、わかることが一つだけある。

山中先生は「人間の細胞だって途中からいろんな物に作り変えられる」ことを前提にしている訳だ。

シロウトさんのわたしは今まで「神様から頂いたちゃんとした設計図を細胞から細胞へ手渡しで正確に渡され続けるから、私という人間ができた」と思っていた。

ところが実際はまるで伝言ゲームで「これこれだからさ~、ちゃんと聞いてさあ、あなたなりに考えて、次の人にちゃんと渡してね、お願い」 と言ってるみたいじゃあないですか。

それなら途中から割り込み、どんどん違う話になっていくのも有りよ、というのもわかる。

だから多田先生は「しかしその過程は、きっちりとすべてがブループリントで決まっているわけではないらしい。」とさり気なく恐ろしいことを言っていたのだ。

そして、

「私というものは、初めから決まっていなかった。細胞間の段階的な情報交換の結果、なんとかうまく生成することができた危うい存在だったのである。」(生命の意味論)

この先は立花隆さんのわかりやすい解説書を読まなければわからない、

えっ、まだ書きかけだって!