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トゥキュディデス「戦史」(トロイアの女たち)

                ギリシャ壺

WOWOW 3/23(土)午後2:00から放映蜷川幸雄版「トロイアの女たち」

よく読まれる歴史書といえば司馬遷の「史記」、ヘロドトスの「歴史」カエサルの「ガリア戦記」でしょう。トゥキュディデス「戦史」を知る人はあまり多くないかもしれませんが、おもしろさでは抜きん出ています。

ギリシャアテネとスパルタ(ラケダイモン人)の戦争「ペロポネソス戦争」を敗戦国アテネ側から描いた観戦記。いわば諸行無常の響きありの「平家物語」の古代ギリシャ版といえます。

例えば、

アテネを襲った疫病の凄まじい描写、「災害の暴威が過度につのると、人間はおのれがどうなるのかを推し測ることができなくなって、神聖とか清浄などといういっさいの宗教感情をかえりみなくなる」という。

アテネとメロス島側との交渉と交渉決裂後の男子虐殺と婦女子の奴隷化は、のちに「トロイアの女」という戯曲としてアテネの残酷さを象徴的に描かれることになります。「おごる平家」というところでしょう。

一転して、シシリー島遠征とアテネ軍の全滅はさしずめ「壇ノ浦の戦い」、と捕虜たちの過酷な運命を描いてノンフィクションドラマは幕を閉じます。

ギリシャ哲学、ギリシャ悲劇と同時代のこのトゥキュディデスの戦争リアリズムは第一次世界大戦まで正鵠を射ることはなかったのです。

二千五百年前の反戦文学は今日でもその力を失うことはありません。

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トロイアの女たち