「ロンドン警視庁ファイル」海外ドラマの傑作
キャリル・チャーチル
かつてBBCドラマでキャリル・チャーチルのフェニミズム劇「トップガールズ」という評判をとった舞台劇があった。
日本で翻案され舞台にかかったので期待したが、残念ながら舞台劇本場の興奮に遠く及ばなかった。
そのとき、なぜだろうと思ったが、やはりシェークスピア演劇以来の伝統の違い、練度の違いだろうと納得した。
いわゆる警察ものという娯楽ミステリードラマを観てもやはり同じ感想を持つ。
ホームズ以来の伝統か、英国の視聴者の目が肥えているのか、どのミステリードラマも総じて質が高く大人の鑑賞に耐えるが、
とくに「ロンドン警視庁ファイル」シーズン1をあらためて通してみて、演出家、俳優、撮影にかける熱意と技術力に感動した。
演出のリンダ・ラ・プラントはヘレン・ミレン「第一容疑者」以来、ミステリードラマの伏線に女性の社会進出を描くフェニミズム劇として仕上げて成功している。
刑事仲間の丁々発止の激論では、シェークスピア劇さながらの名演技を競う展開となってる。
「本シリーズは、リアリティを追求したストーリー展開を背景に、法廷の舞台裏や、登場人物の人間関係、複雑に絡み合う心理模様を丁寧に描き出し、上質な人間ドラマとしての要素を楽しむこともできる。」というふれこみに偽りはない、新シリーズに期待している。