映画「アルゴ」
アカデミー賞作品賞、それもオバマ大統領夫人から発表されましたが、それにふさわしい映画でした。
映画を観るまでは、仰々しいパフォーマンスに首を傾げていましたが、映画を観ればなるほど納得しました。
史実はともかく、映画の要素、脚本、俳優、撮影、編集、音楽、それぞれ情熱と高い技量がほとばしっています。
名作映画特有のすべての歯車がうまくかみ合って躍動しています。
とくにベン・アフレックの演技がいいですね。
計画中止の指示のなかで決行を決意するトニー・メンデスの表情は映画だけにできる精緻なもの。
「映画」にするための脚色に目くじら立てる人がいるそうだが、都合のいい脚色そりゃああるでしょう。
作品に事実を改変した箇所があるのは明らかだ、という。一例を挙げると、クライマックスでイランの防衛隊員の車が、脱出する大使館員らを乗せた航空機を滑走路を並走して追跡し、離陸を妨害しようとするが、実際にはそうした出来事はなかった。
それは観客のだれもがわかること、そんな秒刻みの幸運が実際に続くわけはないでしょう。
また、米大使館員らに避難先を提供し、イランからの無事脱出を支援したカナダの役割は相当軽視され、作戦の大半がアフレック演じるCIA局員トニーの手柄とされている。
これも目の肥えた観客はよく承知して観ている、ドラマとしては主人公の活躍のほうが断然おもしろいのです。
ハリウッド映画界への自虐的ギャグで笑わせて、一転シリアスな人質事件へと緩急のフィジカルなリズムがいい。
イラン側の抗議も当然あって当たり前だが、それより上質な娯楽作品として世界中の映画ファンが楽しめばいいのではないでしょうか。
(ウィキペディアより)
イラン革命真っ最中の1979年。イスラム過激派グループがテヘランのアメリカ大使館を占拠し、52人のアメリカ人外交官が人質に取られた。だが占拠される直前、6人のアメリカ人外交官は大使館から脱出し、カナダ大使公邸に匿われる。CIA工作本部技術部のトニー・メンデス(ベン・アフレック)は6人をイランから救出するため、『アルゴ』という架空のSF映画をでっち上げて6人をそのロケハンのスタッフに身分偽変させるという作戦をたてる。