映画「ミラノ、愛に生きる」
とりためたビデオの整理中にたまたま観た映画に驚愕しました。
こういう体験があるから映画は愉しい。
ヴィスコンティの再来かと思わせる演出とカメラワーク。
イタリアでしかできない新しい感性の映画、ほぼ完璧な芸術映画だと断言できます。
味覚という感受性をこれほど正確かつドラマチックに表現した映画をかつて観たことがありません。
イタリア上流家庭の生活、家族、ビジネスのディティールを丁寧に描いたうえに物語を重ねていきます。
物語は主人公が息子の友人のシェフに恋をするというシンプルなものですが、
例えば、ある味覚、それはプルーストの「失われたときを求めて」で紅茶にプチット・マドレーヌを浸して食べた瞬間に膨大な過去が水中花の花開くような感覚、映像にすれば映画「ミラノ」という表現になるでしょう。
主演のティルダ・スウィントンは製作者に名を連ねていますから入れ込み方は半端じゃあないですね、渾身の演技でしょう。
カスタムデザイン、衣装デザインも息を呑むほど美しい。
至福の映画といえましょう。