マキャべェリとチェーザレ・ボルジア
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ボルジア家 愛と欲望の教皇一族
全9話
8/7(水)スタート
WOWOW プライム字毎週月~金曜午後2:00
「わたしのねらいは、本書を読む人にとって実際に役立つことを述べることである。
だから、想像の世界ではなく、真実をありのままに伝える。」マキャベリ君主論
チェーザレ・ボルジアというより父親であるローマ法王アレクサンドル6世の海外ドラマシリーズを「ボルジア欲望の系譜」「ボルジア家 愛と欲望の教皇一族」2シリーズ続けて観た、観てしまった。
今日のバチカンやカトリック教徒はこのドラマの描く酒池肉林のローマ法王庁世界をどう評しているのだろうか、嫌悪と否定というよりあきれかえって言葉もないのではなかろうか。
キリスト教に縁のない日本人視聴者としてはあまり知ることのない15,6世紀のイタリア情勢をなるほどと関心しながら興味本位に観てしまった。
日本人がチェーザレを知るのはマキャベリが君主論でチェーザレを理想の君主としていることの意外性、あるいは塩野七生の「チョーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷」でのチェーザレである。
惣領 冬実さんの漫画「チェーザレ」は確かな時代考証とダビンチ、ミケランジェロも登場する壮大なイタリア史である。歴史漫画のむつかしさはキャラより衣服、建物、室内の考証とデザインである。実在の教会などの伽藍や室内も正確に描かれていて瞠目する、漫画おそるべし、である。
ただ9巻でまだ父親は枢機卿、このまま物語が進むとして、チェーザレがスペイン逃亡するのは50巻目くらいになりそうな展開でおわりまで何年かかるのだろうか。
今日ではイタリア本国でも出版されているこの傑作漫画がチェーザレ・ボルジアを知る最良の方法である。
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15,6世紀の日本といえば応仁の乱後の室町、安土桃山の戦国時代、織田信長をチェーザレ・ボルジアに見立ててもそう違わない。
マキャベリが君主論で「君主が臣下に忠誠させるためには残酷であっていいし、君主は恐れられるべき」といえば「君主論」はまさに秀吉、家康の方法論である。
超人的な武将チェーザレもアレクサンドル6世が亡くなると力を失いスペインに亡命を余儀なくされる。
マキャベリが「イタリア統一と安定」期待の君主はわがままな坊ちゃまにすぎなかったが、はるか彼方の島国で「君主論」と同じ方法論が実践され3世紀も統一と安定が図られた、とは皮肉である。
アレクサンドル6世は日本にも縁がある。
1493年アレクサンドル6世は大勅書を発した。ポルトガル国王に東南アジアへの布教を命じたのである。
1549年イエズス会ザビエルはポルトガル国王ジョアン3世に命じられ、布教のため日本に上陸した。
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