「オックスフォード運河の殺人」コリン・デクスター
「ジョアナ・フランクス ここに眠る
野蛮かつ残虐な暴行をうけたのち
オックスフォード運河で痛ましい
水死体となって発見された
ロンドンのチャールズ・フランクスの妻
1859年6月22日死去
享年38歳
不慮な死をとげたこの不幸な婦人のために
サマータウン協会会議の有志これを建つ
冥福を祈る
彼女の霊魂の永遠に安らかならんことを」
墓碑「オックスフォード運河の殺人」コリン・デクスターから
モース主任警部は吐血して意識を失い、救急車でジョン・ラドクリフ病院に担ぎ込まれました。
治療のかたわら気晴らしに読み始めたヴィクトリア朝時代の殺人事件を扱った研究書「オックスフォード運河の殺人」にいくつかの疑問が浮かび・・・
コリン・デクスターが本作品で二度目のゴールド・ダガー賞を受賞したシリーズ8作目の傑作です。
クロスワードパズルよろしく資料だけで百年前の事件を解決に導きますが、
得るものはモースも読者もパズルが解けた快感だけというデクスターさんらしい試み。
日本の読者は19世紀オックスフォード運河と運河運搬船の航行についての予習をしておくとより楽しめるでしょう。