モンテーニュから王女マルゴへ
王妃マルゴ [DVD] (2012/07/13) イザベル・アジャーニ、ジャン=ユーグ・アングラード 他 商品詳細を見る |
モンテーニュの「エセー」のなかでもっとも長く深刻な章は、第二巻第十二章の「レーモン・ド・ズボンの弁護」である。難解な神学論であるが、これが王女マルゴへ献呈された書簡であるとされている。ならばマルゴはデュマの小説王妃マルゴの主人公よりはるかに賢明な女性であったことになる。マルゴはモンテーニュを友人とも師とも呼んでいる。
サン・バルテルミの虐殺は、1572年8月24日、ナバール王とマルゴの結婚式直後、パリに集まっていたプロテスタント派をカトリック派が襲い、虐殺は地方にも及んで数万とも十万ともいわれる人が殺された。
時に宗教戦争に名を借りて権力者たちの恐怖からの諍いが悲劇が生む。(2012年シリアのイスラム教派の殺戮もサン・バルテルミの虐殺によく似ている。)
渦中の王妃マルゴはナバラ王アンリをカトリックに改宗させアンリ4世としてフランス王位に就けたのではないか、と思っている。
モンテーニュの書簡もさることながら、王妃マルゴの才女ぶりを再評価しなければなるまい。
ひるがえって今日、シリアにモンテーニュの書簡は届くのか、あるいは王妃マルゴはいるのか、
女性ジャーナリスト射殺の新聞報道を読んで考え込んだ。