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「マネーボール」メジャーリーグを10倍楽しむ方法

わたしには毎年春、秋に決まって買い物をする習慣がある。

春には「メジャーリーグ選手名鑑」秋には「NFLアメリカンフットボール選手名鑑」を買う。

そして4月から10月までメジャーリーグを楽しみ、11月から2月スーパーボウルまでNFLで遊ぶ。

そこで、去年の使い古した「メジャーリーグ選手名鑑」をあらためてみると、全野手のよこにOPS,On-basePlusSluggingのデータが載っている。

マイケル・ルイス著「「マネーボール」はOPSの発明者ビル・ジェイムスとそれを初めて採用したアスレチックス現GMビリー・ビーンのおかしな成功物語なのだ。

OPS、出塁率プラス長打率の高い者だけをドラフトでもトレードでも採用する、守備がヘタであろうが、デブであろうが傷ものでいいのだ。

そして宿敵ヤンキースに競り勝つ、という実話。

OPSのデータだけでなぜ勝利するかを得々とビル・ジェイムスに語らせている。

こういうくだりがある。

「安打191というデータを例にとろう。1シーズンで191本もヒットを打つ選手は、へそ曲がりであるはずがない。冷血漢の可能性はある。意地汚い可能性もある。自分の妹とは結婚させたくない男である可能性も高い。

けれども、ヒットを191本打つためには、一貫性と日夜の努力と自己修養、さらに、痛みをおして出場する気概、ある程度チームプレーに徹する構えがおそらく必要であろう。

一方ホームランを48本打つのは、へそ曲がりでもできる。いつも芝居がかった、足の遅い巨漢の選手が残しそうな記録である。」

1978年の話である。

イチローこのとき5歳、まさか2001年に日本から200安打打者がやって来るとは想像もできない。

それでも、まるで今日のイチローの日々の生活をみてきたような予言である。

このフレーズだけでも1600円の価値はある。


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映画「マネーボール」はブラッド・ピット主演ということで話題を呼んだが、残念ながら失敗作であった。

ハリウッドではベースボールを映画にすれば客が呼べるという妄想があるようだ。なんといったって野球は国民的スポーツ、当たらない訳がないと考える。

ところが実際は野球映画はヒットしないのだ。せいぜい「ナチュラル」「フィールドオブドリーム」くらい、それも夢の話だ。

ベースボール映画の傑作はケビン・コスナーの「オールドルーキー」レッドソックスファンを描いた「2番目のキス」だろうが知る人は少ない。

ご他聞にもれず映画「マネーボール」もこけた。

わたしはこの映画を観て損したけど原作はきっとおもしろいに違いないと、その足で本屋に走り、買って読んだ。

これは傑作、大当たりであった。


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