ピリオダイゼーションという戦略(チェルシー監督モウリーニョ)2015年プレミアリーグ優勝
2015年プレミアリーグ優勝はチェルシー、さっそく2016年も連覇すると宣言。
監督はジョゼ・モウリーニョ。
「私は特別な存在(Special One)だ」というセリフは有名だが、たしかにプレミアリーグ、セリエA、リーガ・エスパニョーラとヨーロッパ三大大会で優勝に導いている監督は彼だけである。
Special One、みずからそう豪語してもだれも文句はいえない、有言実行言葉で自分を鼓舞している。
では彼の哲学、戦術的ピリオダイゼーション理論(PTP理論)とはどんなものか、あまり多くが語られていないが、
ビジネスにも応用のきく最新の勝つためのセオリーについて語ってみよう。
1.モルフォサイクル これはよく知られているトレーニングサイクル。
試合の翌日は必ずオフにする、などである。
ギリョルメ・オリベイラ(訳注:ポルト大学のヴィトール・フラーデ教授とともに戦術的ピリオダイゼーション理論の研究・提唱を行った。現在もFCポルト・アカデミーに職を置いている。)によると、直前の試合を監督が分析し、そこから1週間の課題や目標を設定し到達する上でウィークリーサイクル(モルフォサイクル)と呼ばれる各曜日の役割や違いの認識・形式化こそが彼の練習プラン作りのための基礎となる、という。
「このウィークリーサイクルでは前の試合の反省と次の試合の情報を包括し、その次戦準備を目的としている。」
2.PTP理論の核は複雑性"complicated"
複雑系の振る舞いはしばしば、創発と自己組織化で説明される。カオス理論は初期条件を変化させることで複雑な振る舞いを生じるシステムの敏感さをゲームに応用している。
トレーニングもすべて実戦形式。
モウリーニョの有名な言葉「ピアニストがピアノの練習にピアノのまわりを走るか」
3.創発(emergence)、部分の性質の単純な総和にとどまらない性質が、全体として現れることである。局所的な複数の相互作用が複雑に組織化することで、個別の要素の振る舞いからは予測できないようなシステムが構成される。
ゲームでは選手みずから演技し表現する。
トレーニングにおいても集団のなかでイメージを描く。
ピリオダイゼーション理論の発案はポルトガルのビトール・フラデ氏、全く実戦経験のないモウリーニョが応用、ポルトガルリーグFCポルトで優勝し、理論の有効性を示してイギリスへ渡った。
背景にはスペインを追われたユダヤ系知識人の集団がポルトガルに逃れリスボン大学を中心に活躍するアントニオ・ダマシオらのグループがあり、ビトール・フラデも一員であろう。
アントニオ・ダマシオの言葉
The Feeling of What Happens: Body and Emotion in the Making of Consciousnes
モウリーニョが語ったとしてもおかしくないセリフである。