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「水滸伝」19巻 完結編 なるほどだから面白い

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水滸伝」19巻 完結編 なるほどだから面白い北方水滸伝

講談本では梁山泊に最後まで生き残るはずの楊志が北方版では第五巻で早々に死んでしまった、どうして?

その後延々と続く楊令の成長物語はなぜ?

17巻から突然登場する女真族、どうして?

多くの人が水滸伝をいまいち楽しめない、けむたいのは、

主人公たちが梁山泊で全滅する悲劇の物語だからです。

映画「アラモ」が観終わってすっきりしないのと同じ理由。

北方さんははじめから梁山泊全滅の悲劇ではなく、

北宋の滅亡による梁山泊勝利の物語を計画していたんだ。

そのためには「水滸伝」19巻、「楊令伝」15巻、「岳飛伝」16巻、全50巻を読んで欲しい、

これなら読者は胸躍らせる、という恐るべきたくらみ。

だからラストのセリフ、

「武器を捨てよ。童貫元帥は、おまえを助命されると思う」

楊令「その童貫に、伝えろ。

この楊令は、鬼になる。魔人になる。

そうして、童貫の首を奪る。

この国を、踏み潰し、滅ぼす。

いつの日か、おまえの目の前にこの楊令が立っていると、童貫に伝えろ」と吠える。

史実に沿えば北宋は滅び、童貫は首を打たれる。