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楊令伝というより童貫伝

 

楊令伝〈9〉遥光の章 (集英社文庫)

楊令伝〈9〉遥光の章 (集英社文庫)

 

 童貫は宦官ではありながら禁軍の将軍に登りつめるという特異な経歴の持ち主。


作者は童貫への思い入れが強いのでしょう、前半の方臘の乱平定から、楊令との戦まで童貫を美しく描き切っています。

思い起こせば大水滸伝は「水滸伝」19巻、「楊令伝」15巻、岳飛伝」17巻、全51巻の大河小説、楊令伝〈9〉遥光の章はほぼ真ん中、前半のクライマックスです。意図的なのか、偶然なのか、いずれにしても恐るべき筆力に脱帽です。

史実とはまたひと味違った北方水滸伝、手に汗握る緊迫の第9巻でした。