ヴィスコンティの美学「イノセント」
イノセント 無修正版 デジタル・ニューマスター [DVD] (2006/09/22) ジャンカルロ・ジャンニーニ、ラウラ・アントネッリ 他 商品詳細を見る |
極上のスィーツを時間をかけてゆっくり味わう、そんな楽しみである。
イタリア映画最高の美しい絵をハイビジョン映像で家庭で観られるのは幸せなことである。
とはいえヴィスコンティやタルコフスキーのブルーレイ作品はツタヤでも見かけないし、買おうと思えばずいぶん高い値段がついている。
「イノセント」はほぼ30年ぶりに出会った。
記憶よりずっと美しかった。
話は源氏物語の柏木,若菜に似ている、さすがに源氏では嬰児殺しはないが、主人公の苦悩は同じものである。
「いかばかり恋てふ山の深ければ
入りぬる人まどふらん」 古今六帖「恋の山路」
源氏物語 若菜(下)
谷崎潤一郎は光源氏にまったく共感できない、といったがイノセントの評判がいまひとつ良くないのも同じ理由であろう。
しかし中世から続くイタリア貴族の末裔にしか出来ない画作りを堪能した。
傑作である。