映画「黄金を抱いて跳べ」井筒監督入魂の一作
高村薫の原作、こんなハードボイルド小説が女性作家に書けるか、高村薫は男だろう?と話題を呼んだデビュー作でした。
その映画化、井筒監督入魂の一作です。
キャスティングがいい、西田敏行さんのジイちゃん役をのぞいて。
モモ役のチャンミンが役得。
幸田役の妻夫木聡、北川役の浅野忠信、それぞれうまくなったなあと感心。
大阪裏社会描写の熱気はすごい、井筒さんの大阪撮りはさすがうまい。
どこかで見た絵作りだなあ、と思いだしていると、
そう、これは成瀬の絵だ、この人成瀬巳喜男の画面作りをよく勉強したんだ。という結論です。
ただ金庫破りになると少しトーンダウン。
セットがちゃちいのか、撮影の技術の問題か、とにかく地下金庫の重々しさが伝わってこない。
高村薫さん独特の物のリアリティが伝わってこないもどかしさ。
原作に忠実すぎるあまりにそれぞれのエピソードが細切れ状態で、
原作を読んでいない人には展開が分かりにくいのでは、とちょっと心配になります。
とにかく原作を読んで高村ワールドに入ってから観るとまたおもしろいはずです。
次回作は「リヴィエラを撃て」でお会いしたい。
「リヴィエラを撃て」