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「夏目漱石展」を観る 広島県立美術館

漱石展s

楽しみにしていた展覧会(広島県立美術館)でありましたが、所用で忙しく結局最終日に観覧することとなりました。

漱石に関係する絵画や墨蹟の展示となりますと、当然ターナーなどイギリスロマン主義派の絵が中心となります。

とくに倫敦塔の着想のヒントとなったミレイの「ロンドン塔幽閉の王子」は胸に迫るものがありました。

グレン・グールドが「草枕漱石の芸術論に感化されていたのは有名な話ですが、なるほど漱石の美術批評の慧眼には今更ながら驚くばかりです。

ただ私好みの小説世界「門」「それから」「三四郎」から触発される気分と関わる美術品とのギャップ、例えば「門」ではたして酒井抱一を語れるかというと、抱一の本物を見せられると違和感が生じます。

現実世界から小説の虚構世界への冷水はよく感じることではあります。

ともあれ膨大な漱石関連図書を目の当たりにしますと、あらためて漱石全集を読み直すという愉悦の仕儀となります。