minerva2050 review

ブック、映画、音楽のレビューです。お役に立てば・・・

2014-08-01から1ヶ月間の記事一覧

笑うショーペンハウアー (その2)

随感録(1998/10)A. ショーペンハウアー商品詳細を見る デカンショ節というのがありますね。 ♪デカンショデカンショで半年暮らす あとの半年寝て暮らす 言うまでもなくデカルト、カント、ショーペンハウアーをもじった寮歌ですが、 哲学の系譜でならデカルト…

「アナと雪の女王」そのディズニーマジック

ディズニープロ思惑どおりの大ヒット、そのディズニーマジックとは? 1.あえて70%の出来 いろんな人のレヴューをみてみると、「お話がいまひとつ、キャラクターがいまいち。」 という意見が結構ありますが、大満足ではなく、ちょっと満足、を狙うのがデ…

Dの挑戦 ドストエフスキーの方法

「悪霊」 「ニコライ・スタヴローギンは事実、部屋の中にはいっていた。彼はごく静かに部屋にはいってくると、一瞬戸口で立ちどまり、もの静かな眼差しで一座をみわたした。」 やっと出てきたか、と言いたいけど、スタヴローギンの登場で物語は動き出す。 さ…

「推定無罪」から23年後の続編「無罪」スコット・トゥロー

スコット・トゥローのベストセラー小説というより、 1990年公開の映画「推定無罪」の続編といったほうがわかりやすいでしょう。 法廷ミステリー映画としてはおそらく名作「情婦」につぐ傑作映画でした。 推定無罪 [DVD](2000/04/21)ハリソン・フォード、…

「ハウスオブカード」

監督デビッド・フィンチャー、ケヴィン・スペイシー主演の政治ドラマ、 アメリカでの大ヒットがうなずける傑作TVドラマに仕上がっている。 日本での評判はまだ聞かないが、おそらくNHKが食指をのばすであろうから、来年くらいにはブレイクするだろう。 なる…

「死刑判決」スコット・トゥロー リーガルサスペンス

情婦 [DVD](2008/06/27)タイロン・パワー、マレーネ・デートリッヒ 他商品詳細を見る アメリカのミステリー映画で成功しているものにリーガルサスペンスと呼ばれる法廷ものがあります。 過去1950年代から「十二人の怒れる男」や「情婦」という名作になら…

いまどきの「西行」 森有正

梅雨時、なにげなく読むものとして森有正「バビロンの流れのほとりで」がある。 昭和32年の刊行のこの文のたち方が今日であっても不思議はないほどいつも新鮮なのに驚くが、描かれているのはたしかに今日のパリなのである、曇り空の。 森有正さんは昭和5…

プロムジカマンドリンアンサンブル「マンドリンに魅せられる」

U2、あの独特のピッキングを彷彿とさせるマンドリンのトレロモ「細川ガラシャ夫人」は1901年に発表された古典的名曲ですが、その現代性に驚きました。 最近、縁あってマンドリン音楽を聴く機会が2度ありました。 ひとつは山口大学マンドリンクラブ創…

目からウロコの「そうだったのか現代思想」

某友人から現代の哲学の入門書を求められてのレビュー。 やっかいなこの世界、なるほどと腑に落ちる入門書としては 小坂修平さんの「そうだったのか現代思想」をお勧めします。 そうだったのか現代思想 ニーチェからフーコーまで (講談社+α文庫)(2014/02/14…

「良心の美術館」泉美術館(4)写真家明田弘司「広島の記録」から

HPより 例えば当時、写真家といえば木村伊兵衛や土門拳がいた。 例えば当時、記録写真といえば宮本常一の何万枚という瀬戸内の記録写真があった。 しかし、 写真とは不思議なものである。 明田弘司さんの写真のどの一枚にも写っているあの「屈託のない希望」…

「良心の美術館」泉美術館

HPより これはオーナーの真心の奇跡といってもいい。 広島市郊外にあるこの美術館で出会える奇蹟とは。 まさかこんなところでお会いするとは、というのは失礼かもしれないが、 日本を代表する彫刻家故佐藤忠良の代表作の多くがここにある。 記憶に間違いがな…

「良心の美術館」泉美術館(2)

HPより 正面に梅原龍三郎の傑作が8点ズラリ、それは壮観である。 梅原の主要なモチーフ「北京」「裸婦」「薔薇」から厳選されている。 とくに「裸婦」がいい。 梅原龍三郎、安井曽太郎、坂本繁二郎と「日本人の琴線ふれる」洋画を堪能した。 西洋近代絵画…

平岩弓枝「御宿かわせみ」続 「長編小説作家」という時間の気配り

怪談牡丹灯篭 怪談乳房榎 (ちくま文庫)(1998/08)三遊亭 円朝商品詳細を見る三遊亭円朝の「牡丹灯篭」 わが国の近代小説の幕開けは明治、文明開化の掛け声とともに始まる、まさに奇跡の時代であった。 波紋を広げた投げた石の一つは二葉亭四迷から始まる翻訳…