「森を抜ける道」コリン・デクスター
WOWOW8/31(土)午後2:00でスタート「新米刑事モース~オックスフォード事件簿~
「わたしを見つけて、スウェーデンの娘を
わたしを蔽う凍った外被をとかして
青空を映す水を乾かし
わたしの永遠のテントを広げて」
A・オースチン(1853-87)
この詩がキドリントンのテムズ・バレイ警察に届き、1年前のスウェーデン人女子学生事件の再捜査が始まる。
事件担当のジョンソン主任警部にストレンジ警視が言う。
「人はときとして間違った理由から正しいことをすることがある。
しかしモースはどうか?
彼はむしろ正しい理由から間違ったことをすることが多い。
正しい理由とは・・・わかるな?
だから彼がときどき飲みすぎるとしても・・・」
「モースに事件を担当させたいということですか?」
「うむ、そのほうがいいと思う」ストレンジは言った。
デクスターのモース主任警部シリーズ第十作「森を抜ける道」は読者のどんな名推理も追いつかない傑作推理小説です。
本書でデクスター氏は再びゴールド・ダガー賞を受賞しました。
名実ともにイギリスの推理小説家としてコナン・ドイル、アガサ・クリスティのすぐ横の椅子に鎮座することとなりました。
WOWOW8/31(土)午後2:00でスタートする「新米刑事モース~オックスフォード事件簿~」が話題なのもイギリスにおけるモース警部の衰えない人気ぶりにささえられています。
「森を抜ける道」エピローグ最後の行
「彼の住所はおわかりですか?」秘書が訊いた。
「いや、キドリントンの警察本部(E・モース)あてに出してくれ、それでいい」
「このイニシャルは・・・なんの略かご存知ですか?」
「”E”か?」
編集長はちょっと考えた。
「うーん、いや、わからん。誰も知るまい」 (完)
英国の作家コリン・デクスターが生み出し、“英国で最も好きな探偵”第1位に選ばれたこともあるモース警部。その人気はシャーロック・ホームズを凌ぐほどとの呼び声も。TV化した「主任警部モース」(DVD題「モース警部シリーズ」)は1987~2000年に全33話が作られ、日本でも人気を博した。本作は時代をさかのぼり、新米刑事時代のモースを描いた前日譚である正統派ミステリー。2012年1月から全英ITV1局で放送され、第1話はその時間にTVを見ていた人の4人に1人が視聴。根強いモース人気を証明した。原作者のデクスター自身がコンサルタントを務め、モースが既にクラシック音楽やクロスワードパズルを好きだったり、「主任警部~」の脇役も顔を見せるなど、原点からモースの世界が展開。「主任警部~」でなかなか明かされなかったモースのファーストネーム、エンデバーを冒頭から明かすのもユニークだ。