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目からウロコの「そうだったのか現代思想」

某友人から現代の哲学の入門書を求められてのレビュー。

やっかいなこの世界、なるほどと腑に落ちる入門書としては

小坂修平さんの「そうだったのか現代思想」をお勧めします。


そうだったのか現代思想 ニーチェからフーコーまで (講談社+α文庫)そうだったのか現代思想 ニーチェからフーコーまで (講談社+α文庫)
(2014/02/14)
小阪修平

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ニーチェがやったことは、おおざっぱな比喩で言いますと、

「ちゃぶ台をひっくりかえした」というか、全部ひっくりかえしてしまったことです。

                「そうだったのか現代思想」より

これはうまい、座布団三枚の比喩です。

ニーチェフロイトソシュールさんたちの「ちゃぶ台返し」から、現代思想ははじまりますよ、というのはわかりやすい。

わたしですと、ニーチェフロイトフッサールといいたいところですが、フッサール現象学がなかなか説明しにくい。

小坂さんはフッサールをよけて、ソシュール言語学は日本人にはわかりやすい、と踏んだ。

なにせ漢字、ひらがな、カタカナ、表意文字表音文字を自由自在にあやつる日本人にはシニフィアンシニフィエもラング、パロールも実感としてよくわかるのですが、

第4章ハイデガー

第5章サルトルレヴィ・ストロースになると、

フッサールをよけたうらみが出てきてだんだん腑に落ちなくなります。

第6章はデリダ

第7章ドゥルース、ガタリ

第8章ロランバルトボードリヤール

第9章フーコーと続きます。

しかし、それでも何度も読み返すとなーんだ、ということになります。

腑に落ちるとは、生活実感としてわかり、明日の生活の具体的な糧になるということです。

哲学するとは、知識を増やすことではなくて、だから今日の晩めしが変わったり、明日の朝は早く起きようとか、

日々の暮らしが変わることです。

いかにも苦労人らしい小坂さんのカルチャーセンターでの講義録、聞いてみてはいかが。