minerva2050 午後の愉しみ

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新宿鮫 大沢在昌

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なぜか故ロバート・B・パーカーの「スペンサーシリーズ」を彷彿とさせる。

スペンサーがボストン市内を徘徊するように鮫島は新宿の街を歩く。

いずれも地図を持ち歩けば正確に小説のその場所に行き着く。

スペンサーにはスーザンという恋人がいるが鮫島には晶という彼女。

シリーズの中でレギュラーの面々は登場しその役割をはたす。

なによりも大沢在昌さんにとっては「新宿鮫シリーズ」は当たり芸、

ロバート・B・パーカーでは「スペンサーシリーズ」ということになる。

書き手がその当たり芸を客に褒められて、だんだん上手くなっていく、パーカーは米文学界の大御所になってしまった。

大沢さんは道なかば、精進が続くが、成果は「新宿鮫シリーズ」の新作ということになろう。

新宿

「悲鳴は、鮫島が脱いだジーンズとポロシャツをたたんでいるときに聞こえた。鮫島は一瞬手を止めたが、ロッカーの扉を閉め、鍵をかけた。鍵はマジックテープのついたリストバンドで、手首に固定する仕組みだ。

ロッカー室が面した廊下のつきあたりには、サウナ風呂がある。その手前に、休憩室と仮眠室。

バスタオルを腰に巻き、ロッカー室を出たところで、再び悲鳴が聞こえた。」

1990年、自己増殖する都会「新宿」を舞台に、鮫島警部こと「新宿鮫」の登場のプロローグ。

なつかしいコマ劇場やACB会館が出てくる。

「歌舞伎町の広さは、わずかに0・三四平方キロ、だがそこには二千以上の飲食店が看板をかかげ、一晩に訪れる人間は、こうした週末には四十万人にのぼる。」

おそらく新宿爛熟のピークのころである、日本人なら知らぬものがいない街の舞台設定。

晶 鮫島の恋人、ロックバンド「フーズ・ハニイ」(以下W・H)のヴォーカル

桃井 新宿署防犯課課長・警部。「マンジュウ(死体)」という渾名を持つ

藪 新宿署鑑識係員

香田 警視庁公安・警視。「歌舞伎町警察官殺人事件特別捜査本部」に配属され、新宿署に来た鮫島の同期のキャリア

ママ 区役所通りのゲイバー「ママフォース」のママ

藤丸 警視庁刑事部長・警視監

25年経てもなお変わらぬ人たち、そのキャラクター設定には驚く。

ただあの憎々しい香田がシリーズを通じて変わっていくのはおもしろい。