三条西実隆 古今伝授の行方
「やまと歌は人の心を種として、よろづの言の葉とぞなれるける。世の中にある人、ことわざ繁きものなれば、心に思ふことを、見るもの、聞くものにつけて、言い出だせるなり」
あまりにも有名な紀貫之の仮名序の書き出しです。
とにかく「古今和歌集」「源氏物語」が日本文学の根っこであることは定説でしょう。
おもしろいのは、文学の免許皆伝を受け継ぐのが「古今伝授」という儀式、あまりに日本的ですがまあ家元制度みたいです、あくまで実力継承ということで。
東常縁から宗祇へ、三条西実隆から細川幽斉、松永貞徳から北村季吟、そして最後が柳沢吉保へ、ただしこれは民間伝承。
わたしは、三条西実隆は伝統の絶えるのを恐れて本筋は宮中で継承され、さいわい伝統は明治以後も続き、現在でも皇室、宮内庁でその伝統は絶えていないのではないかと思っています。
いわゆる「御所伝授」と呼ばれる伝統です。
歴代陛下御歌のみやびな調べはその影響だと考えています。そのあたりの経過を宮内庁式部方が披露していただけるといいのですが、おそれおおいことではあります。
古今和歌集(一) (講談社学術文庫 432) (1979/09/06) 久曽神 昇 商品詳細を見る |